土佐のあれこれ
龍馬タタキとは?(ネーミングの由来)
高知でわら焼きの鰹タタキが始まったのは、諸説ありますが、江戸時代に外様大名として着任した山内一豊公の治世です。
先述の通り、古くは奈良時代から鰹漁が盛んで、すでに平安時代には生食がなされるほど、土佐の民は鰹を好んでおりました。しかし腹を下す者が多かったようです。鰹は寄生虫がいることもあり、鮪と違って鮮度劣化が早い魚種ですので無理もありません。
今でも鮮度の落ちやすい鰹は他県の人は色が黒ずんでいるモノが当たり前のスーパーでは販売され高知に来て驚かれるくらいですから冷蔵設備が乏しい昔の事は想像につきます。
見かねた一豊公が「鰹の生食の禁止」のお触れをだしたので、突然食べられなくなります。昔から慣れ親しんだ地元の味(現在でも一人当たりの鰹消費量は全国一!)を何とかして食べたい土佐の民(もともと漁業が盛んで気性が激しく頑固者(いごっそう)が多かった)が考え出したのが表面だけを炙って焼き上げたタタキでした。これを「焼き魚だ!」と言って食べたのが始まりとされています。
昔の事ですから、庶民でも比較的に簡単に手に入り、良い香りが付き、勢いよく燃える「わら焼き」が主流となったのですね。(高知ではわらの他にも、まつ葉やかやなどで焼いた記述があります)
当店では、坂本龍馬ゆかりの地・桂浜の近くで、龍馬の生きた江戸時代から続く土佐の伝統・職人が手焼きするわら焼き100%を実践している事から龍馬にあやかりまして「龍馬タタキ」とネーミングしております。
また史実として、龍馬がタタキを食べたという記録は残念ながら残ってはいないようですが、龍馬記念館のアーカイブスには食べたと考えて間違いないだろうという見解は出されております
龍馬タタキのこだわり!
① 鰹
鰹の旬は3~5月・春の初ガツオと9~11月・秋の戻りカツオの2つがありますが、
当店では脂の乗った皆さんが好まれる秋の戻り鰹にこだわりました。ほんのり脂の乗った鰹とわら焼きの香りは相性が抜群だからです。(自然の海の恵みですので、毎年必ず
よく脂が乗っているというわけにはいきませんが、可能な限り)当店では戻り鰹の中でも脂の乗りが良いとされるシーズン終盤で買い付けを行い、さらにトンボ(ビンチョウマグロ)も一緒に釣れる冷たい海域の良く肥えた鰹の群に厳選しています。
もちろん巻き網漁に比べストレスが少なく鮮度がよい、元気な鰹から釣れるとされる一本釣り鰹のみを焼いています。(一本釣りのくだりは他業者も述べているのであえて後ろに書いてみました)
② (職人による)焼き加減
詳しくは企業秘密ですが、当店では鰹の身に火が入り過ぎないようにして注意を払いながら、しっかりパリッと表面を焼き上げると同時に、皮目をしっかり焼く事は臭みを抑える効果もあります。さらに当店がこだわるのは「焼き色」!
普通に焼くと「灰色」がかるのですが、当店が目指すのは淡い茶色がかった色です。こうすることでしっかりわらの芳ばしい、そして少し懐かしい香りのするのが龍馬タタキの特徴です。
ベルトコンべアーの上で焼いていく機械焼きではなく、職人が気をはらい一節一節焼き上げる手作業だからこそ出来るものです。鰹独特の匂いが苦手な方でも美味しくお召し上がり頂ける自慢の品です。
③ わら焼き
当店では国産のわらのみを使います。(大手の機械焼きのタタキは中国産ですので疑問を持ってもらうため)
わらは高知の清流・四万十川の流れる中流域で高知の米どころ四万十町産です。レストランでも使っているお米を分けて頂いている顔なじみの農家の方々のご協力で集めます。
9月中旬から3カ月かけて日干ししながら毎年10町以上のわらを集めます。(10町とは東京ドームの2倍強の敷地面積です)信用できる農家の方から譲って頂き、自分達で一生懸命集めて貯蔵しているので安心して燃料に出来ます。自ら集めていますのでわらを贅沢に使え、臭みが出ないようにしっかり焼いて香り付けが出来るのです。
④ タタキのたれ
レストラン自家製の化学調味料などに頼らない、昔ながらのたたきのタレです。
酢、醤油、味醂、調理酒などはどれもこだわりのメーカーの1級品を使っています。最も大切なゆず果汁(ゆず酢・ゆのすと高知ではいいます)は高知県産のゆずを使用しております。
味はもちろん、一個一個から搾り過ぎないようにしているのでえぐ味の少ないスッキリした味わいが特徴です。ゆのすを活かしたタタキのたれも龍馬タタキの自慢です。
⑤ 天日塩
高知の山の幸のゆのすと合わせて楽しむ「たれ」とは違い素材の良さをそのまま楽しむなら断然天日塩です。龍馬タタキ、一番オススメの食べ方です。燻製のようなわらの風味とほんのりと脂の乗った鰹のタタキ(土佐造り)を天日塩で頂く美味しさは他には無い味わいです。
高知県は天日塩の産地ですが、中でも味・粒の大きさなどから当店が選んだのは黒潮町の
海工房さんの天日塩、代表の西隈さんご自身も「最高のパートーナーだ!」と認めて頂いております。
是非お試し下さい。
⑥ 鮮度管理
一本釣り漁は巻き網漁と比べて、鰹に傷やストレスが少なく、元気な個体から餌に食いつくので鮮度が良いのです。この一本釣り鰹を職人がじっくり最小の時間で焼き上げ、これを-40℃まで急速冷凍にかけます。わら焼きの風味そのままで真空パックし美味しいタタキをお届けします。
(上記は冷凍の原料を使っているのを強調しないパターンで書いています)
- 2022.01.19
- 16:30
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